「振休」と「代休」の違いとは?
正しい運用と知っておくべき労務リスク
休日出勤が発生した際、現場でよく使われる「振休」と「代休」。
どちらも「休日に働いて、代わりに別の日に休む」仕組みですが、法律上の扱いや割増賃金の発生ルールは大きく異なります。
あいまいに運用していると、知らず知らずのうちに未払い残業代が発生したり、労務トラブルの原因になったりすることも少なくありません。
今回は、人事担当者や経営者の方が押さえておくべき「振休と代休の根本的な違い」と「実務上の注意点」を分かりやすく解説します。
※本記事中の「休日」は、就業規則上の法定休日・所定休日を含む一般的な休日を指します。実際の休日出勤による割増率は、対象日が法定休日か所定休日かによって異なります。
一覧でチェック!振休と代休の比較表

振替休日(振休)とは
事前手続きがポイント
振休とは、あらかじめ特定されていた休日と労働日を「事前に」入れ替える手続きのことです。
事前に指定して入れ替えるため、本来の休日に働いたとしても「休日に働いた」ことにはならず、「平日に働いた」扱いになります。
そのため、原則として休日出勤手当(35%以上の割増賃金)は発生しません。
<振休を成立させるための条件>
- 就業規則に「振替休日を行わせることができる」旨の規定があること
※法定休日を振り替える場合でも、1週1日(または4週4日)の休日数を確保できる範囲で行う必要があります - 事前に振替える日(振休を取得する日)を指定しておくこと
※少なくとも当該休日が始まる前までに指定する必要があります - 振替日は元の休日より前でも後でもよいが、できるだけ近い日程にすること
代休とは?
急な出勤後に与える事後フォロー
代休とは、休日に労働を行わせた「代償として、事後に」特定の労働日の労働義務を免除(休みを付与)する手続きのことです。
事前に入れ替えを行っていないため、休日に働いた事実(休日労働)は変わりません。
そのため、代休を取得したとしても、出勤した休日分の「休日出勤手当(35%以上の割増賃金)」を支払う必要があります。
実務でよくある2つの落とし穴・注意点
注意点①:振休でも割増賃金(25%)が発生するケース(週またぎ)
「振休だから割増賃金は一切発生しない」と思い込んでいる場合は注意が必要です。
労働基準法では「1週40時間」を超えて働かせた場合、25%以上の時間外割増賃金を支払う必要があります。
振替によって週をまたいでしまい、その週の労働時間が40時間を超えた場合は、休日手当(35%)は不要でも、時間外手当(25%)の支払いが必要になります。
注意点②:代休の「積み残し」による長時間労働リスク
代休の未消化が溜まっていくと、従業員の健康状態を害するだけでなく、退職時の未払賃金請求リスクにもつながります。
代休の取得期限(例:翌月以内など)を社内ルールとして明確にしておくことが大切です。
まとめ
正しい運用で安心できる組織づくりを
振休と代休は、手続きの「タイミング(事前か事後か)」ひとつで、給与計算や法令順守の面で大きな差が生まれます。
事前に指定できるなら「振休」
急な対応で後から休ませるなら「代休」
現場での混同を防ぐためには、勤怠管理システムの設定や申請フローの見直し、就業規則の再確認が効果的です。
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